天井を張ることが豪華さの象徴だった時代から、開放感を求めて構造材の意匠を楽しむ時代へと。

鎌倉隠れ家

鎌倉隠れ家は、昭和19年戦時中、疎開目的の為建築。

 

「時」は戦時中。簡素な材での仕上が余儀なくされた。

 

76年の歳月を経て、土台腐食による入替工事の為、天井材を一部外す必要がある。

天井裏にある梁等にジャッキをかけて持ち上げて土台を入れ替える。

 

この古民家、天井材には何種類かの材が使われている。

大部分が、この天井材。べニア材である。

 

 

日本において、べニア材は1907年に名古屋の浅野吉次郎により製造が開始されてきた歴史がある。当時、接着剤の質が悪く剥離等により粗悪なイメージがあったようである。

 

大部分の天井材には、このべニアの柾目材が用いられている。

一見綺麗ではあるが、味が無い。

これはこれで、歴史を考えさせられる材料なのではある。。。。

 

さて、そんな中でも、茶室と玄関には無垢の杉材が用いられている。

玄関と茶室は、豪華さを演出する特別の空間なのであろう。

 

茶室の天井。やはり無垢材には何とも味わいのある雰囲気がある。

 

そして、玄関。

相当に幅広の無垢材を使っている。

幅が大きければ大きいほど値段も高く豪華。

 

残念ながら、土台の入れ替え工事をする箇所がこの茶室と玄関。

この天井を剥がして、梁にジャッキをかける必要がある。

断腸の思いで、天井材を剥がす。

 

茶室の天井が見えた。

昭和19年に建築され、76年の歳月を経て顔を出した梁! 感慨深い。

 

玄関の梁は緩やかに湾曲した「曲がり梁」が美しい。

 

昔は、室内の快適性を保つ為、構造材を隠し天井を張るのが贅沢。
今は、構造材を露出し、古民家のダイナミックな造形と開放感を愛でることが贅沢。

 

ここは、このまま天井裏の造形を楽しむことにしようか。

 

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